近畿圏の大型マルチテナント型物流施設(LMT)では、2025年に過去最大の供給がありました。それでも新規需要も過去最大となり、年末時点の空室率は4.2%にとどまったとCBREが報告しています。2026年4月14日に公表された資料を基に、実績と予測を分けて、倉庫を探す企業と物件を運用するオーナーが確認したいポイントを整理しておきましょう。
2025年は40.1万坪が供給された実績
CBREによると、近畿圏のLMTでは2025年に40.1万坪が新たに供給されました。これは年ベースで過去最大です。同年の新規需要は37.5万坪となり、それまでの過去最大だった2021年の29.9万坪を25%上回りました。大量供給があった一方、空室率は4.2%で、前年からの上昇は0.5ポイントにとどまっています。
これらは、2026年4月に公表された資料で確認できる2025年の実績です。数値の詳細は、CBRE「近畿圏物流マーケット」で確認できます。
2026年・2027年は供給減少の予測
同資料では、2026年と2027年の新規供給は、それぞれ2025年の40%程度にとどまると予測されています。新規需要が引き続き旺盛であることを前提に、空室率は3%台で推移する見通しも示されています。ただし、これは2026年4月時点のCBREによる予測です。実際の供給時期、テナント需要、空室率はその後の経済状況や個別計画の進捗によって変わる可能性があります。
需要の背景は出典の範囲で捉える
CBREは、近畿圏で需要が強い背景として、インバウンド消費、製造業の国内回帰、西日本全域の物流をカバーしやすい地理的優位性を挙げています。また、輸送・配送の効率化を求めるニーズが今後も高まるとの見方を示しています。個別企業の出店や移転を、この市場データだけで説明することはできません。市場全体の傾向と、各社・各物件の事情は分けて判断する必要があります。
倉庫を探す企業が確認したいこと
空室率が低い市場でも、すべての施設が同じ条件ではありません。検討時は、賃料だけでなく、高速道路や主要幹線道路へのアクセス、車両動線、バース数、床荷重、有効天井高、電気容量、稼働時間の制限を比較するのがおすすめです。従業員の通勤手段や採用環境、配送先までの所要時間も、運営コストに影響します。
- 募集賃料、共益費、駐車場、管理費を含む総額
- 契約期間、中途解約、更新、原状回復の条件
- 入居可能日と内装・設備工事に必要な期間
- 大型車の進入、待機、荷さばきに関する運用条件
- 将来の増床や拠点再編へ対応できる余地
市場予測だけで契約時期を決めず、候補物件の最新募集条件と現地の運用条件を募集元へ確認しましょう。
オーナーが確認したいこと
供給が減る予測だけを理由に、賃料上昇や早期成約を前提とするのは避けた方が安心です。物件の立地、築年、設備仕様、区画面積、車両動線などによって競争力は異なります。周辺の募集中物件と比較し、問い合わせ数、内見数、申込に至らない理由を確認したうえで、賃料と募集条件を見直すのがおすすめです。
設備更新や区画変更を検討する場合は、想定する業種の需要を確認し、工事費と賃料収入の改善見込みを比較しましょう。市場全体の空室率と、個別物件の成約可能性は同じではありません。
特定の市への影響は個別データで判断
今回のCBRE資料は近畿圏のLMT市場を対象としたものです。この資料だけを根拠に、伊丹市など特定の市で需要や賃料が上昇すると断定することはできません。地域別に判断する場合は、その地域の新規供給、募集在庫、成約状況、交通条件など、対象地域と直接関係する情報を併せて確認する必要があります。
出典・参考資料
- 発表主体:CBRE Japan/資料名:近畿圏物流マーケット―旺盛な需要の背景と今後の見通し―/公開日:2026年4月14日/公式ページ
まとめ
2025年の近畿圏LMT市場では、過去最大の40.1万坪が供給された一方、新規需要も37.5万坪と過去最大になり、空室率は4.2%でした。2026年と2027年は供給が2025年の40%程度に減り、空室率は3%台で推移するとの予測が示されています。実績と予測を混同せず、テナントは候補物件の最新条件を、オーナーは個別物件の反響と競合状況を確認しながら判断しましょう。
掲載内容は2026年8月30日時点で確認した公開資料に基づきます。市場予測や募集条件は変わる可能性があります。最新情報は資料の発表主体、貸主、募集元へご確認ください。個別の契約判断では、対象物件の最新条件を優先してください。






